TAKAKI_KUMADA

2021-5-26

H5X + HC150mm LADUREE

-フォトグラファーになろうと思ったきっかけは?

大学は理工学部で2年の時までは将来の職業については何も考えていませんでした。3年になって実家に帰省した時に古い一眼レフカメラをふと触る機会があり、その時なぜ写真は写るんだという疑問を持ち、カメラという機械の構造をなにも知らずに使っていたことに気づいてそこからカメラに対して興味を持ちました。
独学でしたがカメラの構造を理解すると今度は「撮る」という行為の難しさと奥深さを知って更にのめり込むようになりました。
今思えばこの最初のタイミングで風景やスナップという撮影からではなく、「人を撮る」ということだけに絞っていたのだなと思い出します。
父がそのカメラで撮っていた写真はアルバムに残るような家族写真で、そのイメージが強かったからなのかもしれません。
そして撮影すると同時に、プリントまでやることで写真とは何かを理解したいと思っていた頃に、大学の研究室に使わなくなっていた古い引き延ばし機があって運よく教授に譲っていただき、フィルム現像とプリント作業も独学で自宅で始めました。カメラ、レンズ、光、フィルム、現像、プリント、他にもいろいろな要素が相まって一枚の写真が出来上がるというプロセスが自分の性に合っていたのか写真に没頭する日々に変わっていきました。
その後大学の研究そっちのけで写真脳になっていた私を教授は後押ししてくれて卒業後すぐにスタジオで働くことにしました。

H5X + HC150mm Numero TOKYO

-ハッセルブラッドとの出会いはいつ頃ですか?

スタジオで働くといろいろなカメラにも出会うことができます。当時はフィルムが主流の時代できっと今よりも多くの種類のカメラを経験することができたのだと思います。
当時私が見た現場ではハッセルブラッドといえば500シリーズでプリズムファインダーとワインダーをつけるスタイルが主流でしたが、稀にデフォルトスタイル(のウェストレベル)で使用している方がいて、そのカメラ構えは独特でスタイリッシュで憧れる姿でした。色々出会ったカメラの中でもいつかはハッセルブラッドを持ちたいと思っていました。

H2 + HC80mm FIGARO JAPON

-907X 50Cの気に入っている点を教えてください

一番最初の感想は「待っていました」というものでした。独立当初はフィルム撮影もしていましたが、今ではデジタル撮影を主軸に活動をしているのでデジタルでありながらVシステムの一番理想のフォルムになったら最高なのにと思っていました。CFV II 50Cは自分の中でこれだと思えるフォルムになりました。
と同時に907Xカメラボディとの出会いがまた衝撃で、SWCタイプのカメラは自分とは縁のないカメラなのではと思っていたのですが、今回同様のデザインである907Xを手にして見るとサイズ感、フィット感、フォルム感、全て自分にとって新鮮でこの組み合わせで撮影することが自分の中では新しいスタイルのオプションとなりました。

503CW + CFV II 50C + Distagon 50mm

-ハッセルブラッドの中判カメラの実力はどのようなシーンで実感されますか?

メイン機であるHシリーズはシンプルで直感的な設計であり機動性を確保しつつも大きなイメージセンサーを持っているので、手持ち撮影を重視している私にとっては機動性と画像のクオリティ、どちらも得ることのできるカメラ、というのがハッセルブラッドというブランドです。
500シリーズは、尊敬するヘルムート・ニュートンのFrames From the Edgeの中で女優のシガニー・ウィーバーが「箱がパカっと飛び出るすてきなカメラ」と表現しているのですが、人物撮影を主軸にしている私にとってはカメラは撮られる側にとっても重要な要素になっていると思っています。ハッセルブラッドのスタイリッシュなデザイン、そしてシャッター音はどのカメラよりも現場に軽快さと高揚をもたらしてくれています。
そしてハッセルブラッドを使用している以上は写真の良し悪しをカメラのせいにはできないという素敵なプレッシャーを持つこともできますね。

907X 50C + XCD 45P

-フォトグラファーとして仕事をしていく上で大切にしていることを教えてください

仕事での撮影の話にはなりますが、撮影現場においてどれだけ客観的に見られるかを考えています。
自分中心の視点になってしまうと細部が見えなくなって、結果、バランスの悪いものになってしまいます。
ひとつの仕事に関わる多くのプロフェッショナルな皆さんの感性をとりまとめて、最終的に一枚の写真に具現化するのがフォトグラファーの仕事だと思っています。

907X 50C + XCD 45P

-今後のご予定や目標などあれば、教えてください

今は時間の大半を仕事で費やしているので、自分の写真の時間も大事にして作品を更に増やしたいですね。

TAKAKI_KUMADA

2004年独立。

モード誌、CDジャケット、広告のほか、

ファッション・ムービーやCFの撮影も手がける。

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使用機材

907X

CFV Ⅱ 50C

H5X

H2

503CW

500C

website : takakikumada.com

関連項目

All Stories

TAKAKI_KUMADA

XHコンバーター0 ,8で撮る

ファンタジー調ポートレート

長年のHシステムユーザーとしてコマーシャルフォトの第一線で活躍され、最近では907Xも導入いただいているフォトグラファーのTAKAKI_KUMADAさん。今回はXHコンバーター0,8を手に、その世界観を自由に表現していただきました。特別な撮りおろしの作品をKUMADAさんによる新しいコンバーターのインプレッションと合わせてお楽しみください。

ロレンツォ・バラッシ

LORENZO BARASSI

ミラノのデザイン学校を卒業、1995年よりアシスタントとしてカメラマンに従事。1998年、ミラノで自身のスタジオを構え、広告、ファッション、雑誌、CDカバー等のフォトグラファーとして活動。2002年よりフリーへ転向、2008年より現在も東京をベースに広告、デジタルクリエイターとして活動。2011岩手県陸前高田にて、Italians For Tohoku (東北復興のためのイタリア人会)の一員として支援活動を行う。2016年より日本製ドレスブランドのデジタルプロダクション(ウェブサイトやソーシャルメディア等)マネジメント等も手掛ける。照明を駆使したアーティスティックな作品を得意とする。

使用機材: X1D-50c, H4D-40

Website: https://www.lnz.it/

Instagram: @ellennezeta

戎康友

YASUTOMO EBISU

写真館を営む祖父と父の影響で日本大学芸術学部写真学科へ進学。卒業後、写真家として独立。

アメリカやヨーロッパを旅しながら現地の人々を撮影した ポートレイト作品を発端に、ファッション誌のエディトリアルや広告、 アーティストまで、ポートレイトを中心に活躍。

使用機材: H6D-100c, X1D II 50C

Website: http://www.ebisuyasutomo.com

Instagram: @yasutomoebisu

濱村健誉

Kiyotaka Hamamura

1986年山口県下関市生まれ。文化服装学院を卒業後ロンドンへ渡英。

ドキュメンタリーを中心に撮影後、帰国しイイノスタジオで勤務。

その後ニューヨークへ渡米。自身のアートワークとMagnum Photosでのインターンを経て、現在東京をベースに活動中。

使用機材: H6D-50c, X1D ll 50C, Hasselblad 553ELX, 500C/M, 555ELD,

Website: https://kiyotakahamamura.com

Instagram: @kiyotakahamamura

水谷太郎

TARO MIZUTANI

1975年東京都生まれ。写真家。

東京工芸大学芸術学部写真学科卒業後、自身の写真家活動を開始。 ファッション誌をはじめコマーシャルフォトやアーティストのポートレイトなどを中心に活躍。

使用機材: H6D-50c

Website: https://www.bnm-jp.com/bnm-affiliation/?id=1382690313-624155

Instagram: @taro__mizutani

長山一樹

KAZUKI NAGAYAMA

2001年 株式会社麻布スタジオ入社

2004年 守本勝英氏に師事

2007年 独立 S-14 に所属

ファッションや広告、フォトブックなどコマーシャル界の第一線で活躍。ハッセルブラッドのV・H・X すべてのシステムを使いこなす。

使用機材: H6D-50c

Website:https://www.ngympicture.com

Instagram:@kazuki_nagayama