ルカ・トライコヴィッチ

セルビアをシネマチックに捉える

名だたる映画監督や撮影監督たちにインスパイアされ、セルビアのフォトグラファーは映画をそのまま切り取ったようなイメージを作り上げます。X1D II 50CとXCD 45P使って、ロケーション、キャスティング、プロダクションデザイン、照明などの制作クルーと共に一連の写真をひとつの架空の映画の一連のフレームとして作り上げました。セルビアの有名セットデザイナー、サネーラ・スパイッチと共にベオグラードを回ってロケハンを行い、シネマチックな雰囲気を纏い、時間の中に写し止められた登場人物達への好奇心を呼び起こすような環境を見つけ出しました。

私は一つ一つの写真をまるで見る者が自分の解釈を持てるショートストーリーのように作りたいと思いました。プロジェクトが形になるにつれ、私は俳優たちに真実味を与えるために、個々のキャラクターの背景のストーリーや写真に写るシーンの前後の解説を書き上げました。さらに私はそれぞれの写真を脚本家や作家に送って、その解釈を尋ねることも考えています。

各フレームの要素は撮影に先立って計画され、様々なレイヤーを内包することで全ての写真に文脈を与えています。例えば車の横でタバコに火をつけている男の写真のために、我々はブルーアワーが訪れる瞬間を待って、さらに煙を加えて曇った雰囲気を作り上げました。新聞売り場と同じ色の車と90年代のナンバープレートはこの環境にマッチさせるためにレンタルしてきました。

ライティングの組み立てはいつもシンプルです。私は撮影場所の雰囲気を強調するため、主に小型のHMIと反射板を使いながら、タングステン光源やLED電球を付けたアステラのライトやプラクティカルライティングを組み合わせ、スモークマシーンも活用しました。

レンズはこの世界観に特別なルックを与えてくれただけでなく、これらのショットを考え出す時にいつもと違う視点をもたらしてくれました。開放からとてもシャープなレンズです。このシステムで一つだけレンズを選ぶとしたら、このレンズにするでしょう。風景にもポートレートにも使い易く、X1D IIとの組み合わせはとてもポータブルでスナップや旅の写真から大規模なプロダクション撮影までこなします。

X1D IIは信じられないほどのディテールを捉え、とても使い易い操作性が小さなパッケージに収められているとても興味深いカメラです。私はこの中判センサーとその画像のシャープな部分とそうでない部分の描き分けに恋に落ちています。このカメラのデザインは、私にこれを道具として用いて新しいものを創造しようとインスパイアしてくれます。色再現性はすばらしく、とても正確です。

Crew:

Production manager: Vanja Lozanović

Costume: Suna Kažić

Costume assistant: Ana Petrović

Mua: Marija Stošić

DIT: Relja Simić

Gaffer: Veljko Jovanović

Assistant: Matija Đukanović

BTS: Gianluca Bartoli

ルカ・トライコヴィッチについて

ベオグラードを中心に活躍するルカ・トライコヴィッチは、幼少期からいつもカメラを持ち歩いていました。15歳の頃、日刊新聞紙の写真記者としてボランティアを始めました。周囲の写真編集者やフォトグラファーに影響を受け、また報道写真家やマグナム・フォトにインスパイアされた彼は、複数のフォトコンテストで受賞しギャラリーで飾られることになるフォトストーリーに取り組み始めました。FDU、ベオグラード芸術大学演劇校の在学中から、からショートフィルム、ミュージックビデオ、ドキュメンタリーやコマーシャルを撮り始めました。これらの多くは国際映画賞で取り上げられ、評価されました。現在では名だたる映画監督にインスパイアされた映画のシーン風の作品を作り続けています。

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