ハッセルブラッドの画像品質保証チームのリーダーでもある画質のスペシャリスト、マティアス・エルムスコグは絶えずハッセルブラッドのカメラを世界中の様々な場所でテストし、もっともシャープな画ともっともスムーズな色再現性を確かなものにしています。パンデミック前、彼はX1D II 50Cと907X 50Cを持ってナミビアの広大な砂漠の美しさを訪れ、様々な地形と気象の下でもカメラが正常に動作し、露出オーバーになりがちな苛烈な太陽光のでも印象的な写真を収めることができるかを検証しました。

ナミビアでX1D iiと907Xを使用する上で一番印象的だったことは何ですか?

ナミビアの風景は息をのむほど美しいものですが、同時に人里離れた場所で3週間もキャンピングカーで過ごすために必要な装備を詰め込むのは労力が必要です。これらのカメラのレベルの画質をこれだけ小さな荷物で持ち運べることは印象的な体験です。また美しく作り上げられていますが、仰々しくはないので小さな町や市場のような場所に寄っても必要以上に人目を惹くこともありませんでした。ロケで美しいポートレートを収めることができるのは素晴らしいことです。

砂漠の昼夜の寒暖差が激しい気候でもカメラは耐えられましたか?

砂漠の夜は非常に冷え込みますが、この旅の前にもノルウェーの北極圏の-15℃以下になる場所でもX1DIIを試したことがあったので心配はしていませんでした。また、暑さに関しても、テスト装置では45℃になる環境で試して問題はありませんでした。

もっとも心配していたことは砂漠の細かい砂塵でした。にも拘わらず、結果としてはカメラもレンズも特に問題がなかったのは喜ばしいことでした。一度砂丘にX1D IIを落としてさえしまい、砂の中から掘り起こしたにも拘わらずです。おっと、この話はボスには言わないでください!

ナミビアでカメラを使って驚いたことはありましたか?

カメラの開発工程を通して関わってきたので、これらの製品の実力というのは十分理解していました。それでも未だに毎回気づかされるのは、このカメラのエルゴノミクスの素晴らしさです。これまでのキャリアを通して様々なメーカーのカメラをテストする機会に恵まれましたが、X1D IIのグリップの良さは本当に際立っています。

もうひとつ特筆したい点は直観的なUIです。他のカメラを使うときしばしば感じるような、自分の創造性をカメラが邪魔するような感覚はこのカメラではありません。技術的な操作をする対象というよりも、自分の創造性を発揮するための道具という感じです。このカメラを私の母親に渡してもすぐに必要なパラメーターだけすぐ操作して良い写真を撮ることができるでしょう。数年前に他社のカメラをプレゼントしましたが、使うのが簡単でないと言われ今では埃を被っています。

それぞれのカメラを特定のシチュエーションで使うためのお気に入りのセッティングはありますか?

ウェストレベルでの撮影には何か私を落ち着かせてじっくりと撮影させるものがあります。決してカメラが遅いからということではありません。創造のためのプロセスをより考え抜くようになるのです。X1D IIをメインで使用することが多いのは事実ですが、視点を変えたいとき、何か創造性を与えられるきっかけが欲しいとき、907X 50Cを選びます。

砂漠の苛烈な太陽光の下での撮影はいかがでしたか?

このような極端なライティング環境で撮影し、ヒストグラムのいずれの端も振り切れない画像を得ることができるのはまさに恩恵です。ときには露出ブラケット撮影を行うこともありましたが、画像編集の段階で実際に露出合成が必要になることはありませんでした。最終的にコントラストの高い画像に仕上げるのが目的だとしても、撮影データのハイライトとシャドーにディテールが保持されているのは役に立つことです。

カメラはナミビアの砂漠の色彩どのように捉えましたか?

砂漠の景色はモノトーンなので、画像にダイナミックさと奥行きを与えるには色と輝度の僅かな変化をも捉える必要があります。そして、まさにその僅かな違いをこのカメラは活き活きと捉えるのです。そして後処理においてもこの他の惑星のような景色の細部の微妙なトーンの変化を破綻させません。

マティアス・エルムスコグについて

スウェーデン人のフォトグラファー、マティアス・エルムスコグはヨーテボリのハッセルブラッド本社の画像品質保証部門のチームリーダーです。彼は最終的な画像のクオリティに関わるカメラ開発のあらゆる側面に参加し、その対象はイメージセンサーとその支援機器の採用から画像処理アルゴリズムの策定まで含まれます。

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