COOPER & GORFER

ユートピア - 折り畳まれた壁の間に

あなたの大切なものは何ですか?あなたの内なる故郷はどこですか?すべてを捨てて、やり直すなら、誰になりたいですか?

「ユートピア - 折り畳まれた壁の間に」は、現在の政治的現実から着想を得た作品です。人間が織りなす物語に深い関心を寄せる、ファインアートフォトグラファーのデュオで、ハッセルブラッドアンバサダーのサラ・クーパーとニナ・ゴルファーは、遊び心溢れるユートピア劇場を想像し、この作品を通じて自己の解釈と文化的背景で成り立つ架空の世界に私たちがいかに囚われているか?を私たちに気付かせます。クーパー&ゴルファーのポートレートの主人公は、新しいディアスポラ(民族離散)-自身の人生と感覚を根こそぎ引き離された経験をもつ若い世代の女性たち-の視点から描かれています。

女神のように撮影された、若い女性の鮮やかな肖像画は、歴史的な記憶と将来の可能性を現在の視点から思慮深く探究します。クーパー&ゴルファーは、ハッセルブラッド X1Dを使って、ポートレート写真と美しいコラージュ技法、そして手描きのテクスチャーを絡み合わせ、写真と絵画をブレンドして、「ユートピア - 折り畳まれた壁の間に」を作り上げました。

YELLOW ROSELINE
DRESSING SEGAL
ISRAA WITH YELLOW BOXES

プロジェクトについて

過去14年間、クーパー&ゴルファーはアルゼンチン、アイスランド、キルギスタン、カタールなどを訪れ、記憶、フェミニズム、移民、流浪、アイデンティティの順応性の問題を探求するため、様々な文化の女性たちと協業してきました。今日の世界は失われたユートピアであるという考えに触発され、二人はユートピアの意味を深く掘り下げ始め、スウェーデンの地元コミュニティの若い女性らと3年間のコラボレーションを実現させました。

THE ETERNAL PLAY

主人公たち

「私たちの主人公の年齢は重要でした。ユートピアは、青春時代に手に入れることができるのかもしれません。私たちはその瞬間を再訪したかったのです。」とクーパーは説明します。 シリーズで取り上げられた若い女性は全員17歳から24歳で、何らかの形で強制移住に関わりのある女性たちです。彼らの多くは2015年の最後の移民の波で難民としてやって来ましたが、その他は祖国を追われた両親から、スウェーデンで生まれた二世です。

通常の作品制作では、クーパー&ゴルファーは主人公らに家族や文化の一部である衣類や布を持参するよう依頼します。しかしながらこの作品では、住んでいた土地を突然に離れたため、多くの女性はポケットに収まる範囲のものしか持って来られませんでした。ダマスカスの鍵、祖母のスカーフなど。ユートピア社会が解体されて再建されるのと同様に、少女たちもかつての自分から解体されて再建され、架空のユートピア世界へと自らを切り貼りしました。

SEGAL AND THE TIGER
The Mountain

この創成プロセスは私たちにとって重要でした。私たちは文字通りそれらを組み立て、積み重ねます。彼女たちがスウェーデンにいるというのは今の状態です。彼女たちはこの文化の影響を受け、この国の伝統的な服を着て、それら文化によって作り上げられます。また、各社会には独自の先入観−つまり、ある特定の事柄、グループや人々をどのように見て理解したいか–を持っています。

ヨハナ

2015年にスウェーデンに到着

エリトリアでは、何万人もの若者が生涯にわたって強制的に徴兵されています。 徴兵制度の下では、不十分な食糧と低賃金の非常に過酷な条件で週72時間働くことが横行しています。もちろん法的に休暇を取る権利はありません。エリトリアの10代の若者は、教育を受けた後、兵役に直行します。先輩らと同様に、ヨハナはこの運命から逃れるために彼女の人生と家族を置き去りにしなければなりませんでした。彼女の未来の唯一のチャンスは、スーダン、リビア、そして地中海を横断する密輸業者のルートを超えた、別の国にありました。

ヨハナは2015年にスウェーデンに到着しました。彼女は起訴されるかもしれない脅威にまだ怯えており、自身のプライベートを明かしたくないと考えています。自身の人生を送るために、彼女は愛する人すべてを置き去りにすることを余儀なくされました。決断しなければならなかった非人道的な選択、それは痛みを伴う過去の喪失によってのみ、得ることができる新しい未来でした。

マリアン

2014年スウェーデンに到着

マリアンはケニアのソマリア人の家系で育ちました。15歳のとき、マリアンは二回りも年上のソマリア人男性と見合い結婚を強いられました。ケニアでは未成年者の結婚は違法であるため、母親と将来の夫は正式な彼女の年齢を15歳から18歳に偽ったのです。2014年に夫にスウェーデンに連れて行かれる前に、マリアンは2人の娘を出産しました。スウェーデンに移住することで彼女に新しい可能性が開かれました。より多くの力と女性のサポートネットワークを得たのです。ある日、マリアンは、3人目の子どもを妊娠していることに気づかないまま、2人の娘を連れて女性用シェルターに避難しました。そして彼女自身で決して選ばなかった夫と離婚しました。その後、彼女の人生で初めて、自分自身のアパートに引っ越しました。自分の家と呼ぶことができる安全な場所です。

THE GOLDEN MARYAN
A PORTRAIT OF JANA

ヤナ

2015年スウェーデンに到着

ヤナの家族はパレスチナ出身ですが、暴動のため彼女が生まれる前にレバノンに引っ越しました。彼女はインタビューの中で、パスポートを持っていないために移動が制限され、教育を受ける権利がないというジレンマについて語りました。彼女はそれを、住んでいた社会に完全に属しているという意識は決してなく、根無し草で、絶え間ない霧の中にいるような感覚と説明しました。彼女は現在スウェーデンのパスポートを所有しているので、スウェーデンを自身の新しい故郷と見なし、以前は認められていなかった、正式な一市民として将来性を与えられ、歓迎され、受け入れられていると感じています。

ユートピア的な場所、彼女の心が休まり、家にいるように感じる場所について尋ねた際、ヤナには正式なパスポートがなかったため実際に訪れることは決して認められなかった場所、彼女の家族の故郷のナザレの地形について話しました。そして、これまで聞かされてきた、町のすぐ外れの周囲の庭にレモンの木が生えている、家族の場所についての多くの話を語りました。そして彼女は自然の孤独への自身の親近感を説明しました。

創作プロセス

デュオは、ハッセルブラッドカメラと被写体の写真撮影から始めます。これに続いて、画像を何度も再撮影し、複数のコラージュを行います。幻想的なイメージを実現するために、デジタルコラージュと物理的な切り貼り、そして再デジタル化を組み合わせて行います。「写真でわかるように、ボディは多層で、前から後ろに再構築されています。腕の一部が欠けていると、その下に別の世界の層が見えます。 女の子たちは、私たちが作り出した、この創造された世界の迷宮に閉じ込められているのです。」とデュオは説明します。

クーパー&ゴルファーの創作プロセスは、このユートピア(ラテン語で「場所がない」を意味する)のアイデアに関連しています。結局、ユートピアを簡単に構築することはできません。「それを体験するチャンスを得るためには、ユートピアを消滅させ、解体する必要があります。解体して、また再構築する必要がありますが、最終的にユートピアは常に幻想に過ぎないのです。」とゴルファーは語ります。

ISRAA AND THE PINK SCARF
SHADI OR THE GIRL WITH MANY HANDS

X1Dを使うことについて

私たちはコレクターです。 私たちは常にカメラを使って、場所や人の本質を説明するために、テクスチャー、シュチュエーション、アイテムらを収集します。コレクションに適したものがいつ見つかるのかはわかりません。なので、コンパクトで洗練されたデザインのカメラによって、いつでもカメラを持ち歩くことができます。このカメラがなかったら、その瞬間を逃したり、特定のショットを撮るために戻ったりしなければならない状況がたくさんありました。私はいつも動いているため、X1Dはこのプロジェクトに最適なカメラでした。

–サラ・クーパー

X1Dの素晴らしいクオリティには、幸せなことに本当に驚かされました。私たちは、多くの暗い照明下で撮影し、X1Dは完璧に機能しました。画像はとても高品質で、色は真に美しく自然です。品質と軽量性を兼ね備えたX1Dは非常に実用的です。

–ニナ・ゴルファー

ANONYMOUS LANDSCAPE

クーパー&ゴルファー

について

サラ・クーパー(USA・ピッツバーグ)とニナ・ゴルファー(オーストリア・ウィーン)は、修士課程を取得中の2005年にスウェーデンのヨーテボリで出会い、共同作業と創造的なパートナーシップをスタートさせました。ヨーテボリは彼らのスタジオ、つまりアイデアの孵化器の役割を果たしました。それぞれファインアート・フォトグラフィー/音楽制作と建築のバックグラウンドを持ち、写真が共通の基盤になる前は、別々のキャリアに進みました。「私たちはお互いのクリエィティビティを解き放ったのです。それはまるで二つの嵐が一つになったようでした。」とクーパーは話します。力強く、政治的、個人的なテーマを探求しながら女性の主題に焦点を当てるファインアートデュオは、視覚的に豊かなコラージュのポートレートと自由な視覚的言語で知られています。彼らの詳細はこちら。

この作品シリーズは、2021年2月7日(日)までFotografiska NYCで展示されています。詳細はこちらをご覧ください。

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