デリリウム(せん妄)

COOPER & GORFER

今回のパンデミックは私たちの日常に起こった恐ろしい出来事となりました。愛する人や生計を失った人もおり、劇的なニュースはメディアから絶えず配信され、ほとんどの人が無力感を覚えています。 私たちはこれらの出来事にまつわる物語に人間味を与えることが求められていると感じました。寄り添うことで、私たち自身の恐れに立ち向かうことができます。芸術はこのことを再び思い起こさせるものとして機能します。患者と医療従事者の双方が抱える人間らしい傷つきやすさを最適に描くため、創造的なアプローチのニュアンスが必要とされているのです。

–サラ・クーパー&ニナ・ゴルファー

スウェーデンを拠点とするハッセルブラッドアンバサダーのクーパー&ゴルファーは、Covid-19のパンデミックを体現する新しい作品、デリリウムの制作に取り組み、この歴史的な悲劇に立ち向かう医療従事者の絶え間ない闘いを捉えました。壮大なルネッサンス画の中の戦いの最前線を見事に彷彿とさせる、看護師、医師、理学療法士、麻酔科医からなる兵士たちは、この感染症の象徴的な症状の昏睡状態の患者を救う術を探し求めています。

 

BEHIND-THE-SCENES

デリリウムは、看護師、患者だけでなく、世界で起こっている事態に対処しようと同じようにおもがいている私たちの様子も、表しています。

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英雄を称える

世界中の医療従事者は、1日あたり膨大な時間を仕事に割き、人手が極端に少なく、おそらく1年近く休むことができていません。クーパー&ゴルファーは、このパンデミックから私たちを守ってくれたヒーローらにスポットライトを当てたいと考えました。しかし、多くの看護師や医師は、ヒーローという言葉を使って自らを説明することを控え、代わりに、患者が主人公である(自分たちの仕事は単なる仕事だと)と話しているようです。

クーパー&ゴルファーは、ヨーテボリの近隣のメンダールにあるサールグレンスカ大学病院と連絡を取り、Covidの治療にあたる集中治療室のメンバーと協業しました。「Covidの危機的な状況にある患者の世話をする人々のあらゆる側面を取り上げたいというアイデアでした。そのため、被写体は看護師、医師、理学療法士、麻酔科医らで構成され、他の作品と同様に私たちは女性にフォーカスしたかったのです。」とサラ・クーパーは説明します。

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私たちは、ある種の空気感のあるイメージに仕上げたかったのです。ルネッサンス風の光の力を借りつつ、色と青いローブをアクセントに、一風変わった方法で壮大な戦闘シーンの1つを彷彿とさせる作品となりました。青の色は、おそらく神聖なもの、また王様の色として使われることがよくあります。このような歴史的な闘争の瞬間に使用されるレトリックからの小さな引用が作品に散りばめられています。

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病院内のスタジオの作成

クーパー&ゴルファーの他の作品と同様に、この作品にも舞台が作られました。アーティストの全体像を掴むために、彼らは病院に到着するやいなや感染症の患者が体験する様々な環境を視察し、その後、スタッフとの短いインタビューを行い、彼らの感情を真に理解しました。

BEHIND-THE-SCENES

第二段階として、病院に写真スタジオを作りました。現場で被写体に指示することで、英雄的な闘いの作品のビジョンを彼らと共有することができました。 「写真撮影の後、私たちはいつものようにコラージュ、画像の分解、そして再構築を行います。なぜなら、私たちが真に作り出したかったのは、継続的な闘いの様子だったからです。画像をよく見ると、実際にはいくつかの被写体が繰り返されていることがわかります。それは長い時間の中のいくつもの瞬間たち、彼らの闘いの瞬間たちです。合計で、実際に撮影したのは7人の医療従事者だけでした。」とニナ・ゴルファーは話します。

スペースが非常に狭いため、広角のHC50mmレンズは非常に重要でした。なぜなら、私たちは病院側に合わせなければならず、1時間の休憩時間にすべての女性を撮影しなければいけませんでした。私たちは狭い室内で撮影しながらも、HC 50mmを使用することで、歪みのない画像で全ての女性を収めることができました。そしてもちろん、ご存知の通り、このカメラが与えてくれる信じられないほどのディテールのために、私たちはH6D-100cを愛用しています。

クーパー&ゴルファーについて

サラ・クーパー(USA・ピッツバーグ)とニナ・ゴルファー(オーストリア・ウィーン)は、修士課程を取得中の2005年にスウェーデンのヨーテボリで出会い、共同作業と創造的なパートナーシップをスタートさせました。ヨーテボリは彼らのスタジオ、つまりアイデアの孵化器の役割を果たしました。それぞれファインアート・フォトグラフィー/音楽制作と建築のバックグラウンドを持ち、写真が共通の基盤になる前は、別々のキャリアに進みました。「私たちはお互いのクリエィティビティを解き放ったのです。それはまるで二つの嵐が一つになったようでした。」とクーパーは話します。力強く、政治的、個人的なテーマを探求しながら女性の主題に焦点を当てるファインアートデュオは、視覚的に豊かなコラージュのポートレートと自由な視覚的言語で知られています。彼らの詳細はこちら

この作品シリーズは、2021年2月7日(日)までFotografiska NYCで展示されています。詳細はこちらをご覧ください。

Create brilliant masterpieces with the H6D-100c

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