Hasselblad Masters

Volume 7: Enlighten

Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90

「色は、見た目以上に見る人に語りかけ、見る人の感覚に訴えかけるものだと思っています。」

長年、色、光、そして作品の持つ「ムード」が、Ramón Vaqueroの映像作品を構成する重要な要素であり続けています。「私は、真の美しさに光を当て、モデルのカリスマ性と照明の光をうまく融合させた作品を撮りたいと考えています。」 Ramónの作品は、特徴的なルックを撮ることだけを目的としていません。彼は、装飾や人工的なものを取り除き、可能な限り自然に近い姿の被写体を撮影し、作品のテーマが、ビューティー、ファッション、ポートレートのどれなのか、あえて曖昧にしています。

Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90

Ramónの作品を見ると、まるで引き込まれるような感覚に陥ります。彼は、無駄な要素を取り除き、シンプルな作品スタイルを意図的に作り上げ、作品を見ると同時に、作品の雰囲気がすぐに伝わるようにしています。

Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90
Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90

しかし、作品を見る人々は、時間が経つにつれて、緻密なディテールや作品に秘められたメッセージに気付き始め、作品をより深く理解するようになります。「誰もが、作品を見た時に、すぐにその世界に入り込めるような作品を作りたいと思っています。」と、Ramónは述べています。

しかし、本質的なものやシンプルさを映像で表現する背景には、実は、様々な要素の存在があります。「モデルは、私にインスピレーションを与えてくれる存在です。いつもそうですね。私は、スタジオやその他の撮影場所で、モデルの周りを、私が選んだ光や色、撮影用の背景などで満たして、作品のイメージを膨らませます。」

Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90

「照明が作り出す光が、撮影の鍵ですね。」

Ramónは、ゼロから映像作品を作り上げることを楽しんでいます。スタジオのような質素な環境からスタートし、創造性を発揮しながら、あらゆる撮影パラメーターを自由に調整して、自分の目指す映像美を実現できることを、とても楽しく思っています。彼は、作品のコンセプトをもとに、モデルのキャスティングから照明スキーム、スタイリング、撮影、後編集まで担当します。

Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90

このシリーズを撮影する時、Ramón Vaqueroは、X2Dのカラーパフォーマンスをテストするために、自然な色合いではなく、鮮やかな色を使って撮影してみました。「X2Dを使ってみると、生き生きとした豊富な色表現と繊細な階調表現で、とても滑らかな映像を撮影でき、満足の行く結果を得られました。」

「X2Dは、私のワークフローにスムーズに組み込むことができたため、ワークフローを変えずに作業を進めることができました。初めから問題なくハッセルブラッドカメラを使って撮影することができました。

Ramón Vaquero, X2D 100C, XCD 3,2/90

最終工程である後編集は、Ramónのワークフローの中で特にクリエイティブな作業です。彼は、Phocusを使いRAWファイルを調整し、Photoshopで仕上げを行い、自分の望む雰囲気やキャラクターを作り上げていきます。「緻密に整えられた見た目でありながら、同時にシンプルにも見える映像を作ることが好きです。一つ一つの作業段階において、どうしたら映像がもっと良くなるのかと考えを巡らせるプロセスがとても好きで、意欲が掻き立てられます。」

Ramón Vaquero

Ramón Vaqueroについて

ハッセルブラッドマスターRamón Vaqueroは、スペインのビーゴを拠点に活躍しています。彼の撮影歴は長く、わずか10歳の時に初めてカメラをもらい、その時から写真を撮り続けています。彼は、幅広いジャンルの撮影に携わり、世界中から注目されています。過去には、Graphis(Gold最優秀賞)、東京インターナショナル フォトアワード(広告部門)、Monochrome Photography Awards(Fine Art部門 Photographer of the Year)等の写真コンテストで賞を受賞しています。アーティストは、技術面でも芸術面でも、学び続けていくべきであるという信念を持ち、活躍を続けています。

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