Hasselblad Masters

Volume 7: Enlighten

Mati Machner, X2D 100C, XCD 2,5/55V

「私が撮影するカップルは、みんな特別なストーリーを持っています。感情的なストーリーだったり、笑ってしまう話だったり、悲しいストーリーもあったりします。でも、だからこそ、作品づくりが面白くなるんです。ウェディングは、カップル毎に唯一無二のものであって、他と似ているウェディングなんて存在しないんです。」

Mati Machnerは、カメラアングルや絞りよりも、カップルの二人を理解し、彼らと深い信頼性を築くことに時間をかけることで、ウェディングフォトを通してアートを表現します。「彼らの話に注意深く耳を傾けることが大切です。彼らの望みや不安、約束事など、彼らのことをより深く知れば知るほど、彼らの思いを汲み取りながら、また彼らも私の意図を理解しながら、彼らの希望通りの撮影を行うことができます。」と、彼は述べています。かつてソーシャルワーカーとして働いていたMati Machnerは、人々の話に耳を傾け、彼らの考えを理解してきた経験があります。この経験は、重要であり、かつ、慌ただしいウェディング用の撮影に、特に役立っています。

Mati Machner, X2D 100C, XCD 2,5/55V

ウェディング フォトグラファーという仕事は、賭けのようなところがあります。スタジオでの撮影とは違い、リアルな雰囲気や感情を含んだウェディングにふさわしい瞬間は、たった一度しか訪れません。「カップル二人がお互いに誓いを交わしたり、涙を流したり、車椅子に座った重秒の祖母が彼らを祝ったり…このような瞬間が訪れるのはたった一度きりで、二度と再現することはできません。」

Matiは、二人のそんな大切な瞬間を撮り逃すようなことは、フォトグラファーにあってはならないことだと言います。予測できない出来事に備えて、ウェディング フォトグラファーは、天気や照度条件、ロケ先の状況の変化や撮影のタイミングをよく考慮しておく必要があります。

Mati Machner, X2D 100C, XCD 2,5/55V

「シャッターを切って、完璧な写真を撮影するだけではありません。撮影するあなた自身が、ストーリー全体の語り手となるんです。」

ウェディング当日のはるか前から、プロセスは開始しています。たくさんのカップルが、約1年前にMatiによる撮影を予約します。予約が成立すると、Matiと彼のクライアントは交流を始め、お互いの理解を深め、それをベースに、彼らのためだけにカスタマイズされた撮影プランを計画し、ウェディングセレモニーの準備を進めます。

「時々、露出や構図など、良いウェディングフォトの技術的な面や芸術的な面は二の次にすることがあります。カメラで色々と設定し終わる前に、重要な瞬間が過ぎてしまうことがあるからです。なので、カメラ設定にばかり気を配るよりも、むしろ、いま目の前の瞬間に集中していなければなりません。」

Mati Machner, X2D 100C, XCD 2,5/55V

「X2Dで私が好きなところは、操作が簡単で、直感的に使用できる点です。無駄に複雑なところはありませんでしたし、ボタンは全て理想的な位置に配置されていました。マニュアルを読む必要もなかったです。初日から直感的に使うことができ、このカメラの品質にふさわしい素晴らしい写真を撮ることができました。」

当日に様々な作業に負われる可能性があるのは、フォトグラファーだけではありません。カップルの二人もまた、ゲストや家族などに対応するプレッシャーを常に感じており、休む時間がないこともあります。そんな中、Matiは、少なくとも30分、カップルを撮影のためにウェディング会場から離れさせ、可能であれば自然の中へ連れていきます。「忙しないウェディング当日、この時間の間だけ、二人は自分達に集中することができ、一緒になることを決めた本当の理由を振り返るのです。」

Mati Machner, X2D 100C, XCD 2,5/55V

Matiは、彼のEnlightenプロジェクトの撮影場所に、ポルトガルのファナルフォレストを選択しました。「このプロジェクトの写真を、被写体の二人以外誰もいない静かな自然の中で撮影することは、自分にとって重要なことでした。この森の中に立つ霧の中で、ある種の親密性を写し出すことを、私は思い描いていました。霧があることで、風景の奥行きに制限が生まれ、二人の親密性にフォーカスが当たるようになるんです。」

「ハッセルブラッド マスター プロジェクトでは、X2Dのおかけで、私は本当に必要なものだけに集中して撮影することができました。すなわち、これらの写真を撮影している間、私は、正確な露出や思い描いた通りの構図で、撮りたい瞬間を捉えることにだけ集中していました。」

X2Dを手に持ち、Matiは、その撮影シーンに焦点を合わせ、静けさと物悲しさが交わり、人を惹きつける映像美が生まれる場所に狙いを定めます。緑が生い茂った風景の中で、二人は、まるで木のように並んで立っています。ここで生まれるのは、この二人と自然の間の融和であり、お互いを支え合いながら、このシーンに命を吹き込んでいます。

このカメラは細部まで鮮明に捉えることができ、後編集するのに十分なディテールを捉えることができるため、Matiは、この撮影シーンでは、写真をとにかく写真をたくさん撮りました。「X2Dは、シャドウ部分でさえも、細部まで鮮明に捉えることができるため、後編集で、その豊富なディテールから必要な要素を引き出しています。このカメラのダイナミックレンジにより、より柔軟に編集でき、これは大きなアドバンテージだと思います。」

Mati Machner, X2D 100C, XCD 2,5/55V

全ての彼独自の工程を経て、ユニークなウェディングフォトが出来上がりました。ウェディングセレモニーの華やかさを表現する典型的なウェディングフォトとは異なり、彼の写真では、二人の魂そのものにフォーカスがあたり、これからの新しい人生の初日の様子を写し出しています。毎年の記念日に、Matiの写真は、絆を結んだ美しい瞬間を思い起こさせてくれます。自然で、幽玄で、思いやりに溢れ、同時に、そうなる運命にあった美しい絆を。

Mati Machner

Mati Machnerについて

Mati Machnerは、オーストリアをベースに、国内外で活躍するデスティネーション ウェディング フォトグラファーです。旅行や写真を愛する彼は、被写体となるカップルのことを理解した上で、パーソナルでリアルなウェディングフォトを撮影することを専門としています。

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