なくてはならない相棒

野見山大地

2020-06-30

X1D-50c XCD 4/45P ワットプラタートソーンケオ

日本とタイにルーツを持ち、写真をコミュニケーションツールとして活用しながら、世界中を旅するフォトグラファーの野見山大地さん。X1D-50cとXCD 4/45Pを相棒に、私たちがまだ知らない新しい世界を写真を通じて、次々と紹介してくれています。

MAVIC 2 PRO ワットサムプラーン

-野見山さんとカメラの出会いを教えてください。

私とカメラの出会いは旅です。旅といってもいろいろあるのですが私の中で二つほど大きな分岐点の旅がありました。まず、一つ目は中学校の修学旅行です。それまで学生時代の友人達とは学業や部活動もあり、一緒に旅行することはほとんどなかったのでとても楽しみにしていた旅行でした。せっかく行くなら何か自分達で思い出に残したいなと思い、家族に相談したところ父親がデジタル一眼レフを貸してくれるとうい事になり、それを修学旅行に持って行きました。

修学旅行に行くまでの間、毎晩父にカメラの使い方を教わったりいろんな撮影地にいったりと、いつしか父はカメラの師匠となりました。修学旅行当日までにある程度カメラの知識と撮影術を身につけた私は、自宅から一眼レフを首に下げて楽しみに集合場所の駅まで行ったことを今でも覚えています。集合場所の駅につくと友人達からは、本格的なカメラを持ってきていると驚かれました。当時、カメラ付き携帯電話はありましたがスマートフォンはなく同級生は使い捨てのフィルムカメラしか持ってきていなかったからでしょう。それから私は旅行中みんなに写真を撮ってくれと頼まれました。景色や友人達の写真を夢中で撮っていた為、私自身が映る写真はほとんどありませんでしたが、デジタル一眼レフで写真を撮ることによってみんなが笑顔になり喜んでもらえる事が私も嬉しく、とても幸せな気持ちになった事を今でもはっきりと覚えています。月日は流れ学生時代、野球漬けの毎日で白球を追いかけ、バットを降り続けていた私はいつしかカメラのことを自然と忘れていました。

ある時、野球漬けの生活が終わりこれから社会に出て就職するとなった時、急な虚無感に襲われました。野球しかやってこなかった私は目標を失ってしまったので、当然のことかもしれません。当時から普通の人生は嫌だと思っていた私は人生一度きりだし今しかできないことをやろうと思い社会の荒波から逃げるように世界一周の旅に舵を切るのです。これが私の二つ目の分岐点です。

世界一周の旅には思い出を残したい、また修学旅行の時の記憶も思い出し、カメラも一緒持って行ききました。旅をしていると旅とカメラと相性がいいと改めてわかります。カメラを持っているだけで撮ってと話しかけてくれる子ども達、カップルや夫婦。写真を撮るという事は世界共通語である英語のようなコミュニケーションツールになると感じました。

世界一周の旅に出始めたばかりの私はオートの設定でしか撮る事ができませんでした。父から教わった知識は野球漬けの生活で全部忘れていたのです。しかし旅にでるといろんなロケーションに出会います。スラム街の子ども達、アフリカのマサイ族、ヨーロッパの美しい街並み、ウユニ塩湖、キリマンジャロの山頂、満点の星空やオーロラ。色々なものを撮り続ける事で次第にカメラの仕組みなどを理解する事ができ、カメラの腕前がどんどん上がっていきました。

それから旅の写真をSNSなどにアップし、それを機に仕事の依頼も来るようになりカメラマンを目指すきっかっけにもなりました。私にとって世界一周の旅をした経験こそが、今に繋がるかけがえのない貴重な時間となったのです。

MAVIC 2 PRO ワット・ドイティ

-ハッセルブラッドのカメラはどのような経緯で使い始めたのですか?

世界一周の旅を終えた私はカメラのことをもっと知りたいと思い色々なカメラを調べました。そこで何気なく立ち寄った地元のカメラ屋さん。そこに調べていたカメラとはまったく違う、見たことないカメラがズラリと陳列されていました。フィルムカメラがメインで二眼レフや100年以上前のカメラなど私の知らない世界がそこに広がっていたのです。そんな色々な素晴らしいカメラがある中で目に止まったのがハッセルブラッドでした。一目惚れした私はすぐに店員さんにカメラの説明を聞きました。そのカメラはハッセルブラッドSWCというモデルで世界最高の広角レンズで唯一無二のカメラと説明を受け、感動したことを今でも覚えています。その時初めて中判カメラの存在も知る事ができました。フィルムカメラの現像の仕方、セッテイング方法や撮影方法を知った私はすぐに購入しました。これが私とハッセルブラッドの最初の出会いです。

その後、世界初の中判ミラーレスX1D-50cが発売された時は衝撃を受け、すぐに予約をして即日購入しました。私が所持していたSWCはとても良いカメラなのですがフィルムカメラなので仕事ではなかなか使いづらく私の個人的な趣味で使用しているだけでした。しかしX1D-50cはどうでしょう?デジダルでしかも中判。これ以上ないスペックではないでしょうか。おかげさまでX1D-50cは今でも私の主力機です。そしていつしかハッセルブラッドはドローンにも搭載されました。以前からドローンを仕事で使用した私にとってはこの上ない喜びで勝手に運命さえも感じました。地上からも空からも撮る事ができるハッセルブラッドはいつしか私にはなくてはならない相棒なのです。

※ドローンの使用は各国のルールに従ってください。一例をあげますと私がよく仕事で訪れているタイは世界一ドローンに厳しい国とも言われています。タイで飛ばす場合はドローンの登録が必須です。国のシステムに登録せずに無許可で飛ばすと最長5年の禁固刑、10万バーツ(日本円で約30万円)の罰金が課せられます。

X1D-50c XCD 4/45P マハナコーンタワー

-ハッセルブラッドの魅力を教えてください。

X1D-50cの手軽さはとても魅力的です。海外での撮影が多いためカメラはなるべく手軽なものが良いので助かっています。それと今回発売されたXCDレンズの4/45Pとの組み合わせはより一層手軽で常に首から下げて街角などのスナップなど撮りたい時に即座に撮ることも可能です。最新の一眼レフだと当たり前の事なのですが、これが中判カメラでもできるとうい事は本当に驚きです。また、シャッター音が静かなのも良いです。タイなどの厳かな雰囲気の寺院でも人目を気にする事なく問題なく撮影する事ができます。

MAVIC 2 PROに搭載されているハッセルブラッドのカメラ、L1D-20cもとても気に入っています。折りたたみ式のドローンで持ち運びがしやすい上に1インチのCMOSセンサーという仕事で使っていても申し分ないスペックになっています。またレンズの歪みがほとんどないのも魅力的です。

X1D-50c XCD 4/45P パークロン花市場

-中判デジタルの実力はどのようなシーンで発揮されますか?

中判デジタルの一番の魅力はその場の空気感まで伝わるという事ではないでしょうか。それと大きなサイズに印刷して引き伸ばしても全く問題ないところも気に入っています。個展の時は私の好きな写真の関係上、大きく印刷する事が多いのですが、それとの相性も良いです。ここで少し話はそれますが私の好きな写真について話させてください。

世界一周中はいろいろな絶景と呼ばれる景色に出会ってきたのですが、次第にどこかの景色と比べてしまい、最後の方はシャッターすら切らなくなってしまいました。そんな中でも私が常に撮影していた対象がありました。それが密集です。人、建物や生き物。世界中のありとあらゆる密集しているものには常にカメラを構えてシャッターを切っていました。いつしか密集は私の好きな写真になりました。そんな密集と中判デジタルの相性は抜群に良いです。中判センサーの画面いっぱいに密集している写真は私を含め、見る人を楽しませる事ができるのです。

X1D-50c XCD4/45P ワットサムプラーン

MAVIC 2 PRO サトーンユニークタワー

-野見山さんの今後のご予定や目標などあれば、教えてください。

世界一周後も色々な国に行きましたがまだ75ヵ国。世界196ヵ国もありまだ半分以下なので全部の国に行きたいです。あと南極大陸だけはまだ足を踏み入れていないのでそこは絶対に行きます。色々なところでまだ見ぬ景色や密集しているものを死ぬまで撮り続けて行きたいです。そこで最高の一枚を撮りたいですね。というのも私は最高の一枚をいまだに撮った事がないからです。私にとって最高の一枚と思う瞬間はカメラ越しではなく自分自身の目で見たいのでカメラすら構えません。ですから残りの人生で最高の一枚を撮ってみたいですね。

今後の予定ですが、私の好きな写真である密集の写真集を出版し、個展を開催することです。写真集のおおまかな構想は決まっていて、後は数枚写真を撮り完成というところまで来ています、完成まで楽しみに待っていてください。また、日本とタイとのハーフですので両国の良さを伝える唯一無二の写真家であり続けたいです。

プロフィール

野見山大地

1993年、日本人の父とタイ人の母の間に生まれる。幼少期をタイで過ごし、人々や文化に魅了された。自分の目で世界を見るために写真家を目指し、カメラ片手に世界一周、アフリカ縦断を行う。今まで訪れた国は70カ国以上。陸、海、空すべてのフィールドでシャッターをきる。資格マニアでもあり、車やバイクの大型免許、ゾウ使い、乗馬、小型船舶、ドローン操縦者、調理師、ダイブマスターなどの資格を持つ。

写真集「CHAOTHAI」

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