ハッセルブラッド ナチュラルカラーソリューション

(HNCS)


ハッセルブラッド ナチュラルカラーソリューション (HNCS)は、ハッセルブラッドによって独自開発されたカラーマネージメントシステムです。この技術により、撮影時から編集に至るまで、ハッセルブラッドカメラは、現実に忠実かつ正確な色を、細部まで滑らかな階調で表現でき、人の目で知覚するそのままの色合いを再現することができます。


妥協を許さない色への追求

フォトグラファーであれば、色の精度に関して妥協してはならないと、ハッセルブラッドは信じています。

「正確」に見える色を実現する典型的な方法は、被写体に合わせた異なるカラープロファイルを提供することです。ポートレート写真、静物写真、風景写真のような各プロファイルは、想定した被写体に合わせて、カラーレンダリングを実行します。しかし、実際の被写体がこのようなカテゴリーにうまく分類されることは稀であり、大抵の場合は、複数の異なるカテゴリーの被写体が1枚に写真の中に混在します。ハッセルブラッドでは、フォトグラファーがプロファイルを選ぶのに苦戦したり、他の色を完璧に捉えるためにいくつかの色を犠牲にしたりするようなことは、あってはならないと考えています。



2004年、中判デジタルカメラの開発中、ハッセルブラッドのエンジニアは、ハッセルブラッドのデジタルカメラ1台で、色一つ一つを忠実に再現できる、全く新しいカラーマネージメントシステムを開発する決心をしました。ハッセルブラッドのエンジニアは、世界中のフォトグラファーに話を聞き、滑らかな階調を表現するカラーレンダリングやスキントーンを忠実に再現するカラープロファイルを実現するために、彼らの色に対する考えや要求について理解を深めていきました。

このようにフォトグラファーの方々のニーズを考慮し、50年培ってきたカメラ開発の経験を活かして、幅広い撮影シナリオに対応できる、汎用性の高いカラーマネージメントシステム「ハッセルブラッド ナチュラルカラーソリューション (HNCS)」を構築しました。これにより、信頼性の高い正確なカラーレンダリングが実現し、フォトグラファーは、複雑なカラープロファイルのプリセットを設定する必要がなくなりました。デフォルト設定のままで、実物に忠実な色合いを再現できるようになったのです。


ユニークな「ハッセルブラッドカラー」を生み出す技術

全てのハッセルブラッドの中判カメラは、1台ごとにピクセルレベルに至るキャリブレーションを徹底して行い、どのカメラにおいても高水準のセンサー性能を達成しています。さらに、ハッセルブラッドの高品質な中判カメラ用レンズも併用することで、正確なカラーレンダリングの基礎が形成されます。

人間の目は、自動的に細部やコントラストを強調して、認識します。もし、単にカメラが技術的にカラー値を再現した場合、色合いは単調で面白みのないものとなり、人間の目が実際に認識する色合いとはかけ離れたものになってしまいます。そこで、微細な色合いまでを再現するために、HNCSは色調やコントラストも最適化しています。


© Donald Michael Chambers
X2D 100C + XCD 2,5/55V

© Donald Michael Chambers
X2D 100C + XCD 2,5/55V

HNCSは、ハッセルブラッドのナチュラルカラーに対する理解をもとに生まれました。HNCSには、ハッセルブラッドが独自開発したカラールックアップテーブル (LUT)、ハッセルブラッド フィルムカーブ、そしてユニークなカラー処理システムが含まれ、この組み合わせによりどんな光源環境にも適応できます。色データは、撮影時の値を再マッピングする一連のカラー変換を経ることで、実際のコントラストや豊かな彩度、スキントーンのような繊細な色合いが、ハイライトからシャドーにかけて、滑らかに再現されます。


© Linus Englund
X2D 100C + XCD 2,5/55V

© Jianjun Wang
X2D 100C + XCD 4/21

その結果、忠実な色合いと広範囲のコントラストによる、フィルムのようなトーンを実現します。カメラから直接出力したJPEG画像でも、ハッセルブラッドの画像処理ソフトウェアPhocusから出力した3FRファイルでも、実物に忠実な「ハッセルブラッドカラー」が常に再現されます。

HNCSは、後処理のことも考慮されて設計されています。Phocusを使えば、ハッセルブラッド独自の作業用カラースペースで画像データを編集でき、データの劣化を最小限に抑えることができます。また、編集の過程でトーンカーブやコントラストなどが変更されても、スキントーンが可能な限り影響を受けないように最適化されます。博物館職員や美術品修復家のような、より広い色域を必要とするユーザー向けに、Labカラースペースのほぼ全ての色が含まれるHasselblad L*RGBカラースペースも選択できます。これにより、複雑な光源下の色や彩度の高すぎる色でも再現することができます。さらに、Phocusのカラーキャリブレーション ツールを使用すれば、カスタムキャリブレーションを作成し、最適な精度で色を再現することができます。

HNCSは、撮影時だけでなく編集の段階でも機能し、色の正確性、色調、コントラスト、カラースペースの変換において効果を発揮します。これにより、一貫性をもった正確な、実物に忠実な色合いを実現し、写真一枚一枚を高品質の「ハッセルブラッドカラー」で表現します。HNCSを使用すると、正確な色を捉えるために特定のカラープロファイルを選択する必要がなくなり、ユーザーは思い通りの色を再現しながら、創造性を自由に発揮することができます。