Hasselbladで富士山を撮るということ!

TAKASHI

2019-04-02

Tags: X System X1D X System Lenses

それはスペックだけで語れない余裕をもたらしてくれるということ!

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今から7年前、富士山の撮影を始めた時のパートナーはマイクロフォーサーズのミラーレスでした。今日こそは傑作を撮るぞ!と意気込んで撮影スポットに向かうと、大抵ズラリと並んだ頑丈な三脚達に出迎えられる。そして、三脚の上には出番を待つ中判フィルムカメラ達が富士山に睨みをきかせていたのです。

恐る恐る自分のカメラを横にセットすると、オモチャのようなデジカメで何しにきたの?という声が聞こえてくるようなプレッシャーに襲われました。中でも素人の私でも名前だけは知っていたHasselbladが醸し出す雰囲気に畏怖の念を感じながらも漠然とした憧れを抱いたものでした。

でも、デジカメから始めた自分には永遠に縁のない中判の世界と、その憧れは長らく心の奥にしまい込まれていました。

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時を経て、今は高性能デジタルカメラのディスプレイの列が日の出を待って光っています。そこに中判フィルムカメラを見かける事はほぼなくなりました。

そうして、かつての憧れが自分のメモリーから消去されそうになっていた時に知ったのがHasselblad X1Dの存在だったのです。

ミラーレスとなって手に入れたその出で立ちは、中判と思えないほどコンパクトで洒落たものでした。それは強く自分を惹きつけました。

「これで富士山を撮ってみたい!」その思いが叶ったのです。

 

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自分は他社のカメラをメインカメラとして使っています。現在のところ、フルサイズでこれに敵うカメラは無いと感じているほど最強のパートナーなのです。

ですが、Hasselblad X1D-50cをはじめて触った時、嵐のようなカルチャーショックを受けました。カメラに対する考え方がまるっきり違う。正直に言ってAF速度は速くない。手振れ補正もないし、シャッタースピードも今時にして1/2000という仕様。

ところが、三脚の上にHasselblad X1D-50cをセットした瞬間、消去寸前だったあの自分とは縁のなかったはずの世界が目の前に開けたのです。

俊敏さを求めていないAF駆動と、独特のシャッタースピード音が撮ることに対する意識を変えていく。かつて見た光景のデジャヴのように。

 

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Hasselbladには専用の現像アプリ「Phocus」が用意されています。

これで現像した時に2度目のカルチャーショックが。

色が違う。今回の作品は冬の澄み渡った青空が印象的でしたが、その青空にコクがある。なのに空気の透明感もある。色彩が今までとちょっと違うのです。そして朝日で輝く雪肌が白く飛ばすに立体感を失わない。」以前見た中判ポジフィルムを見た時の印象に通じるものがあると感じるのです。それはフィルムで撮ったことがない自分だけの感覚かもしれませんが。

 

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その中判センサーの余裕は天の川にも発揮されていました。

X1Dは5000万画素なので35mmフルサイズの最高峰と比べて解像度が飛び抜けているわけではありません。しかし、画素数では語れない懐の深さがX1D-50cの中判センサーの真骨頂なのだと感じました。

そして、その余裕はさらに現像を重ねるトップ写真のモノクロの一枚にも現れています。富士山の上空に浮かぶ巨大吊るし雲の微妙なグラデーション! それが失われることなく、豊かな表情となってこの一枚の印象を決定付けています。

それは、搭載されている中判センサーがとても優秀であるからこそ実現できるのだと確信します。

このHasselblad X1Dに仕様からくる高性能だけでは語れない何かを教わったような気がします。

Author

TAKASHI

2011年初夏、初めての富士山撮影で雲海富士の絶景、そして霧から現れた富士山の前を朝日で輝きながら泳ぐ白鳥に出会って以来、写真を撮ることは富士山を撮ることになった富士山フォトグラファー。

2014年から海外で富士山の写真を発表し続け、世界で多くの実績を重ねる。

アメリカ・ナショナルジオグラフィックではTraveler誌6/7月号の表紙に採用、ウェブ掲載の個人特集多数、写真集「Greatest Landscapes」掲載、フォトコンでも毎年EFに選ばれるなどナショナルジオグラフィック編集者にも知られる存在となっている。

Instagram: @takashi_photography
Twitter: @Takashi_LF
Web: https://www.takashi-artfuji.com/

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