ハッセルブラッドの中判システムH6D-100cでの動画撮影について

マシュー・カモディ (Matthew Carmody)

2019-07-25

Tags: H System H6D H System Lenses

元をたどればH6D-100cのような大型センサーでの動画撮影に挑んだのは65mmフィルムと同じサイズのデジタルセンサーを持つAlexa 65の映像を見てからのこと。

映画ROGUE ONEでは景色を広く見せるワイドなフレーミングの場面でもまるでポートレートレンズを用いたような人物の立体感に衝撃を受けました。まさに求めていた映像ですが、Alexa 65やIMAXといった類のレンタル専門機材はさすがに使えない・・・なのでそれに似た画が出せる機材を探す旅に出ました。そこで出会ったのはH6D-100cというわけです。

出会った時点でH6D-100cで撮られた作品がまだありませんでしたが、直感的に潜在能力を見込んで、2018年4月にデモ機を手にして試行錯誤の始まり。

まさに勘が当たった瞬間。最初の撮影で求めていた映像をさっそくゲット。


フォーカスが被写体を包み込んでいて動いているのを見るとまるで3Dに見える映像。

4K RAW動画機能が付いていると言っても、まず静止画メインの設計で冷却機能がないためオーバーヒートの心配に加え、ローリングシャッター現象もそれなりに考慮した撮影スタイルを要求されます。そこで3軸ジンバルや三脚、ドリーを主に用いた撮影方法を取っています。またH6D-100cはシネマカメラではないのでモニターやマイクのようなアクセサリーをつけるだけでも一工夫は必要ですが、一眼の動画撮影になれた人ならリグを含め様々な対策は可能です。

Ronin-Mに載せての撮影。レンズはHC 80mm F2.8。

動画では使わないファインダーを外しての三脚仕様。

レンズの話

Hシステムは様々な特性を持ったレンズがラインナップされています。その中で一番よく手にするのはHasselblad HC 80mm F2.8。少しワイドなフレーミングでも人物や車のような被写体を抜群の立体感とクリーミーなボケで綺麗に映してくれます。この一本だけで作品は作ったことがあるくらい万能な性能。しかも小型なのでジンバル撮影に向いているというメリットもあって迷えばまずこの一本から撮影することを強くお勧めします。

ハッセルブラッドの中判システムは美しいものをさらに美しく見せる色空間を提供。

他に気に入りのレンズを上げると、解像感が素晴らしいHasselblad HC 50mm F3.5 II。

夕暮れ時、カップルが歩いているだけで絵になる素晴らしい解像感と程よいボケ。

 

そして独特な世界観を見せてくれるHasselblad HCD 24mm F4.8。

だんじり祭りのやりまわしを後ろに乗って撮影。


さらなる可能性

もう一つハッセルブラッドのH6D-100cに注目したのはデジタルバックの脱着。普通のシネマカメラではマウントを変えることは不可能か、できたとしても作業的に大変なことが多いです。H6D-100cの場合はデジタルバックはワンタッチで外れて、違うマウント部分に素早く交換可能です。

 


ALPA of SwitzerlandのPLATON PLシステムを使えば、様々なPLマウントシネマレンズをこの特大センサーと組み合わせられます。写真はMamiya 80mm T1.9。

Mamiya 80mm T1.9で撮影した映像

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Tokina Vista Prime 18mm T1.5で撮影した映像

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Leitz Thalia 70mm T2.6で撮影した映像

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中判デジタルカメラによる動画撮影は一般的にまだまだ未知の領域。

きっかけとなったAlexa 65と同じサイズの中判センサーを搭載していながら、サイズが非常にコンパクトで小型スタビライザーや軽量三脚でも楽に運用できるH6D-100c。

素晴らしい立体感、やわらかいボケ味、綺麗な色=スキントーンの4K RAW映像を提供。

一コマ一コマはまさに写真そのもので普段から味わえない特別な雰囲気を作品に与えてくれる良き仲間となっています。

AUTHOR

マシュー・カモディ (Matthew Carmody)

オーストラリア生まれ。1999年、20歳のときにワーキングホリデーで来日して以来、人生のほぼ半分を関西で過ごす。不思議な国・日本への冒険は、大学への挑戦に変わり、日本で就職。そして結婚して子供が生まれ、永住の道を選択した。映像制作の仕事を始めたのはわずか3年前だが、現在は刺激を与えてくれる仲間とともに製品PVやショートフィルムなど様々な映像を撮影。ハッセルブラッドに出会い、中判カメラでの動画撮影に魅了され、Hasselblad H6Dで動画撮影を行っている。

YouTube: https://www.youtube.com/c/matthewcarmody/
Instagram: @matte_production

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