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吉岡 英太郎 3|Eitaro Yoshioka

Hasselblad Ambassador 2015 Eitaro Yoshioka

ハッセルブラッドアンバサダー2015 フォトグラファー 吉岡 英太郎 氏


未明まで降り続いた雨。森林の香りと極彩色がどうも気になり、H5D-200c MSとPCをバッグに詰めて日光東照宮へ向かった。

今年は、戦国の世を治め260余年におよぶ江戸時代の礎を築いた徳川家康の没後400年にあたるという。家康を祀った日光東照宮の社殿群の多くは今からおよそ380年前、寛永13年(1636)に造り替えられたものだそうだ。この歴史的建造物、自然と一体になった宗教的空間を、最先端のテクノロジーH5D-200c MSはどう捕らえるのか。

現地に到着してみると、開門1時間前というのに既に長蛇の列。頭の中に交差する制約と欲求。地面を入れての撮影は不可能、アングルもかなり限定される。H5DのCMOSシリーズは優れた高感度特性によりワンショットであれば手持ち撮影も可能だが、やはり超高画質、2億画素のマルチショットで向き合いたい。結局、拝観者の邪魔にならないよう、三脚とPCをセットしてマルチショットで撮影することに決めた。

7時半。開門と同時に境内に入ると、外とはまるで違う、何とも言えない空気が漂っていた。

まず目に飛び込んでくるのは、鮮やかな色彩の下神庫(しもじんこ)。

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肉眼では細かいところまでは見えないが、4shotのマルチショットは金属部分の模様や金、朱、橙、葡萄茶、緑、青など極彩色の塗りの微妙なトーンまで克明に映し出す。(木の葉や枝は風の影響があったため1shot画像を合成)


表門に安置されている仁王像。

Yoshioka3-3Yoshioka3-4風雨に晒され見た目にも傷みが激しい。撮影してみると剥がれ落ちそうな肌の部分に修復を重ねてきた歴史が感じられる。目はくっきりと光彩を放ち、今もなお門番としての役目を果たしているかのようだ。瞳を縁取る青、金、黒は美術的な手法なのだろうか。


神輿舎(しんよしゃ)に納められた神輿(みこし)。

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H5D-200c MSの6shotは、とても肉眼では見えない絢爛豪華な金細工のディテールや組紐まで超高精細に描写する。また、ダイナミックレンジが広いため天井に描かれた天女の絵も克明に描写されている。(風で動いてしまう上部の紙垂(しで)は1shot画像を使用)


陽明門の左右に延びる廻廊(かいろう)。

日本を代表する最も美しい門といわれる「陽明門」は生憎修理中で見ることができなかったが、そこから左右に延びる回廊に息をのむ。

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それぞれの桝ごとに違う花鳥モチーフが一枚板で透かし彫りされ、極彩色が施されている。「陽明門」はいつまで見ていても見飽きないことから「日暮の門」とも呼ばれるらしいが、この回廊に展開される見事な彫刻もまた決して見飽きることはない。しかし、どんなに印象深いものであっても人の映像記憶には限界があり細部までは覚えていない。マルチショットで撮影した画像を改めてモニターで見ていると、あまりにリアルで間近でそれを見ているような感覚になる。


陽明門の前にある鐘楼・鼓楼(かねろう・ころう)。

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6shotで鼓楼の上部を捕らえた。屋根に施され金に輝く三つ葉葵の紋は、新しい時代を切り拓いた徳川家康の偉大さを今に伝えている。屋根下の木組みの巧みさ、金、朱、緑、青の細やかで精緻な絵付けと塗りが見て取れる。(風の影響を受ける木々の部分は1shotを合成)


唐門(からもん)

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唐門付近は拝観者がひっきりなしに通り、振動が伝わるため6shotは諦めて4shotを使用。胡粉(ごふん)で白く塗られた彫刻は、中国の故事を表しているらしい。肉感的な人や動物の体、顔の表情、しなやかな衣、生き生きとした植物の曲線、細かな彫りのラインなどが克明に描写され、時空を超えて物語の世界に引き込まれていきそうだ。


今回使用したレンズは、HC-50mm、HC-80mm、HC-150mm。陽明門が修理中で見られなかったこと、拝観者が多くて思うように撮影できなかったことは残念だったが、H5D-200c MSのマルチショット機能は、想像以上の描写力で、時間が経ってもあの日の空気感まで再現してくれる。常に三脚とPCを必要とする点でフィールドでの自由度は低いが、その分じっくりと作画に集中できるH5D-200c MSは、私にとって現代の8×10(エイトバイテン)といってもよい。またH5D-200c MSを携えてこの地を訪れてみたい。


吉岡 英太郎 (よしおか えいたろう) 氏

岐阜県各務原市出身。J.Walter.Thompson Japan、株式会社エフエイトを経て渡米。 広告写真家としてジュエリーや時計、化粧品、料理等の静物からモデルやインテリア、風景等ジャンルを問わず活動。ハッセルブラッドのHシステムはH1時代からマルチショットタイプのデジタルバックを愛用。2013年より東京綜合写真専門学校にて講師。2015年より Hasselblad Ambassadorに。

アヴェニューA http://ave-a.com/

Eitaro Yoshioka started his career at J. Walter Thompson, Japan, and through them also worked in America. He is a technical product and advertising photographer but doesn’t shy away from interior and portrait photography. Yoshioka is an H system user since the H1 era and has a weakness for the Multi Shot. He has lectured at the Tokyo College of Photography since 2013. http://ave-a.com/


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